榎本武揚の話。
この人の本格的な話は安部公房かなと思ってた。
近年新資料が出て来てか随分と感じが違う。
そして抵抗したが降伏してその後明治政府に高官として迎えられた。
まるで世渡りのうまい幕末の人、みたいなイメージ。
実際はかなり違うようだ。
オランダに技術者として派遣され西洋の民権思想を知りそれを実践しようとした、となる。
そのことを事細かに史実と照らし合わせながら榎本の側からの見方で書いてある。
よくここまで資料を検討した、と思わせる力作。
ただあまりに細かすぎて飽きる場面も。
元々敗者の話。
それゆえ高揚することが少ない。
ある程度の史実も知ってるので読んでいてこの先これは潰れる、とかやられる、とわかってしまうのでドキドキが少ない。
その点司馬遼太郎はうまい。
まさにストーリーテラー。
その域まで達してたらもっと面白かったかもしれない。
だから読むのに時間かかった。
予定の倍ぐらいかな。
登場人物で嫌なのが勝海舟。
これは他の小説でも口先だけの厄介な人となってるのもある。
本当に偉人だったのだろうかと疑問。
それと徳川慶喜。
全くの優柔不断で決断力なしとなってた。
これも実際はどうなんだろう、そうだった可能性もある。
薩長は単なる徳川への積年の恨みと権力欲で動いたとも言える。
攘夷、攘夷といったのはほかもそうだが世界を知らなかっただけの無知からくる。
トランプ支持者と変わらない。
そんなこんなで江戸末期から明治にかけて思いをめぐらすことができた。